今年も、テクニカルコミュニケーター協会(TC協会)のシンポジウムの季節となりました。
昨年4月に協会の個人会員となった私は、前回に続いて今年も参加しようと考え会社に外出届を出そうとしたところ、「シンポジウムへの参加を研修として扱い、会社で入場料を支払う」という話が出ました。「参加費がいくらなのか」「どの催しに参加するのか」を申告して、どうやら認められそうです。私は会社のそういう制度を利用するつもりはなく、あくまで一個人として参加するつもりでいましたが、会社が以前から協会の法人会員だったことでその恩恵を受けられることになりました。参加費(25,000円)を自腹で払う必要がなくなり、外出時間も欠勤扱いとはならないのでメリットも多いのですが、1つだけ「レポートを会社に提出しなければならない」という困ったことが発生してしまいました。会社としてわざわざお金を出して社員を教育しようというわけですから、それくらいの代価は社員として払わなければならないのは当然とも言えます。それにしても面倒くさい… 個人で参加するよりいっそう身を引き締めていかなければならなくなりました。
入社して2ヵ月半。仕事自体に少しずつ慣れてきたとともに、「編集」という仕事にだんだん前向きに取り組めるようになってきました。先月、仕事を教わっていた方々が2名(いずれも正社員ではなく派遣社員)が相次いで職場を去るというショッキングで沈んだ気持ちになる出来事がありましたが、なんとなく1日1日を過ごしているうちに「過去の出来事」となりました。
辞めていった2人ですが、一人は独身の女性で私より2歳年下。書籍編集畑出身で、マニュアル類の編集はこの仕事が初めてだったのだそうです。もう一人は既婚の男性で私と同年齢。マニュアル類の編集を8年続けてきたそうですが、通勤距離が長いことと、生まれたばかりのお子さんの成長を見届けたいということ(残業が多くては家にいる時間が少なくなる)、もうマニュアル類の編集はうんざりだという理由で別の会社(出版物の進行管理)へと移っていきました。
私は、このお二人に比べて業務に関する経験も知識も明らかに劣っています。当たり前のことです。ただ、1つだけ負けないものがあると思います。それは、「テクニカルドキュメンテーション(マニュアル類)の仕事に対する興味とこだわり」という点です。
世間では、「マニュアルはわかりにくい」ということがよく言われます。家電のマニュアル、携帯電話のマニュアル、パソコンのマニュアル… 「読むのが面倒くさい」「私はそんなもの読みもしないよ」という人も多いと思います。そういう人を1人でも減らすために、TC協会のような団体が様々な活動を行ったりしているのです。
何の因果かマニュアル業界に入ってしまった私ですが、せっかく入った以上は、世間での「マニュアル」という存在に対する風当たりが少しでも和らぐ、そのための活動の一端を担いたいと思います。「編集の仕事なら書籍でも雑誌でもマニュアルでも」という方(業種より職種を優先している人)、「マニュアルの編集の仕事はもう飽きた」という方。その志向や考え方を否定はしませんが、私はそうはなりたくない、そういった方々には負けたくないと思います。最初に紹介した協会の名前にもありますが、主にテクニカルドキュメンテーションの制作に携わる人を「テクニカルコミュニケーター」といいます(厳密には、この定義に限定されません)が、私はその「テクニカルコミュニケーター」だ、という自覚を常に頭のどこかで持っていたいと思います。「残業が多い」「体力勝負」とよく言われる世界です。その点で挫折してしまうかもしれない。こんな文章を書いた自分が遠い過去の存在に思えるときが来るかもしれない。それでも、できればこれらの悪条件を克服して、ずっとやっていくことができればと思っています。