全国の図書館関係者が一斉に異議を唱えそうなシーンがさっきテレビで流れたので一言。
たまたま『相棒』(テレビ朝日)を見たら、こんなシーンが。見ていなかった方のために、あらすじ(導入部だけ)を書いておこう。
2人の年配の男性が相次いで殺害され、遺体の上には中も表紙も白紙の本が置かれていた。2つの事件には接点があるのではないかと疑った杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、殺された2人の共通点を探るべく所持品を調査する。その結果、世田谷区立南図書館(もちろん実在しない図書館)の利用者カードを2人とも持っていたことがわかり、杉下と亀山は早速図書館に向かう。カウンターにいた男性司書に2人の顔写真を見せ「心当たりはないですか?」と訊くと、近くにいた女性司書(高岡早紀)を紹介する。女性司書は杉下と亀山を事務室に案内し、「2人が借りた本のリストを調べてみましょうか?」と端末を操作する。すると、検索結果から2人とも“自分史”に関する本を借りていた… とまぁこんなところ。
ここで1つ問題なのは、高岡早紀扮する女性司書が、刑事達が求めもしないのに「借りた本の履歴調べてみましょうか?」と気安く端末を操作して情報を提供したシーン。実際の図書館司書ならこんなことは絶対しない。図書館員は利用者の情報を守る義務がある(守秘義務)。第一、刑事達が本物の刑事じゃなかったらどうなっていただろう? これは立派な個人情報の流出である。
これと同じようなシーンがかつて同じテレビ朝日の水曜夜9時枠のドラマで流された。私はそのことを大学の図書館司書課程の授業で知った。たしか『さすらい刑事旅情編』じゃなかったかと思う。このとき大学の先生は「こういうシーンをテレビで流すことに問題がある」と説いていらっしゃった。
「図書館員は図書館利用者の情報をみだりに公開しない」、その根拠となる法律か何かは忘れてしまったが、必ずある筈である。そういうことに無知なテレビの脚本家が今日の放送のようなシナリオを書く。その結果、視聴者の中に「図書館は個人情報をあんなに簡単に漏らすのか」という誤解を持つ人が現れるとも限らない。
番組を見ている限り、刑事達は捜査令状を持って図書館に向かった訳ではない。単に被害者の写真を見せるだけの聞き込みであり、本格的な家宅捜索とか強制捜査ではなかったはずだ。
近いうちに大学の図書館司書課程の授業で取り上げられそうな話題なので、先に取り上げておきました。たぶん全国の大学司書課程のどこかがこのことを取り上げるような気がする。
脚本を書いた砂本量さん、図書館業務についてもっと勉強してくださいね。