今日が、9月初の求人広告の取材。
都内某所へ朝の10時前に向かう。
この取材依頼は9月になってすぐに来た話で、早くから決まっていたもの。
今日を迎えるまでは休みを取ったり他の仕事をしていたりしていたが、前日(昨日)には以前他の転職サイトに載った原稿を手配して読んだり、親会社のサイトに目を通したりして、いろいろと質問を準備していた。
「こんなことを訊こう」「ああいう質問をしよう」と、ザッとではあるけどいろいろ考え、この日に備えていた。
今朝はいつもより早起き。寝不足なうえに、寝坊するのにちょうどよい気候(ちょっと肌寒い)だったこともあり、もっと寝ていたかった。ただ、そうもいかないので眠い目をこすりながら起床。
初めての業界とはいえ、自信満々。
いくら初めての業界といえども、この位の気持ちでなければダメだろう。オドオドしながらマウンドに上がるピッチャーはいない。だから、こういう心境でいることはむしろ正しい。
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午前10時。定刻どおりに取材開始。
社長(おそらく40代の男性)が現れ、会社概要について取材。
まずは会社の成り立ち(設立までの経緯)から話を始め、ディレクターや広告代理店の営業職と一緒にインタビューを進めていく。
その話が終わり、次の質問をしようとしたところで、
「あなた、アパレル(の求人広告制作)の仕事あまりしてないでしょ?」
「どうもさっきから話がかみ合わないように感じてたんだよね」
「また日を改めて(別のライターに来てもらった方がいい)」
まさかのダメ出し……。
慌てて、ディレクターと広告代理店の営業職がケータイで自社と連絡を取る。状況報告や代わりのライターの手配、日時の再設定などに追われた。
その間、私は席を外すわけにもいかず、手許の資料に目を通しながら(もはやそんなことをしても意味ないけど)社長と視線を合わさないようにただただやり過ごしていた。
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ディレクター・広告代理店の営業職・カメラマンを置いて、取材先を早々に後にする。
私は感情がすぐに沸き上がってくるタイプではないから、この事態を理性で冷静に受け止めている。実感が湧かない。
ただ、それでも一応はいろいろな考えや感情が心の中に渦巻いてきた。
「すべては私の力不足だ、仕方がない」「皆さんにご迷惑をかけた」という大人の考えが大勢を占めたが、その一方で「悔しい」「あの社長、ふざけんなよ」という子供っぽい、ホンネの気持ちも存在している。
抑え役としてマウンドに上ったものの早々にメッタ打ちにあって降板させられたリリーフエースのような心境だ。
全人格を否定されたような気持ち。今までやってきたこと、今までの実績はいったい何だったんだろう。やっと付いてきた自信がまたなくなってしまう。今後の取材に自信が持てなくなってしまう。
それと、
「この取材のために明後日の午前中まで予定を空けておいたのに、どうしてくれるんだ!」
「他の人なら、もっと酷いことをされても(例えば客から頭に水をぶっかけられても)平気な人がいる。この位でへこむようじゃダメだ」
という気持ちも。
最寄り駅までたどり着いたが、気持ちの面で疲れてしまって、何もする気になれない。
本当ならいろいろと買い物をしなければならないのだが、そういう気力も沸いてこない。
とりあえず、40分くらいだろうか、駅の近くにあったスターバックスでホットココアを飲みながら時間を過ごすことにした。ケータイを手にとって、ゲームをしたり、mixi内で編集者やライターが集うコミュニティの書き込みを呼んでいるうちに、気持ちが落ち着いた。
やっと買い物を済ませて、家路に就くことができた。
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今までなら、自分が明るくない業界の会社へ取材に伺っても、あらかじめ「業界のことはよくわからないのですが……」と断って取材を始めたり、明るくなくても取材対象者が内容をかみ砕いて話してくれたりした結果、このような事態が起きたことは一度もなかった。
また、アパレルといえばクリエイティブな業界。過去、アクセサリーのメーカー・ゲーム会社・CG制作会社に伺ったことがあるが、特に問題は起きなかった。
それなのに今回は……。
まあ、たしかにアパレル業界の取材は全くといっていいほどしたことがなかったし、業界のこともわからないことが多い。
だったら情報収集すればいいのかもしれないけど、(自分に甘いようだけど)それをするにも時間的に限界がある。
今後、アパレル業界に対するトラウマが残りそうだ。
帰宅した頃に、お仕事をいただいている転職サイトの責任者から連絡が。
「臨機応変な訊き方ができれば」という話があったけど、なかなか難しいよなぁ。足りない知識は勉強して頭に入れればいいけど、「うまいインタビューの仕方」「臨機応変な対応の仕方」というのはそういうわけにはいかない。
そのときにも話したのだが、今回気づいたのは「アパレル業界の人間は感性で動いているのだなぁ」ということ。こうして書いてみると当たり前のことのように思われるが、今回こういう形で接してみて、「取材のような場面でも同じなのだなぁ」と思った。
逆に、日頃取材する機会の多いIT業界の人達は、理屈で動いている感じ。だから一つ一つ順序立てて話を聞いていくのが有効だったりする。私は理屈っぽい人間だから、そちらのほうが性に合っている。
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私はよく、意識して、または無意識のうちに個人をバッシングしてしまうことがある(それも私の至らなさのなせる技だが)。けど、今回は逆にバッシングされる人の気持ちがわかったような気がした。
ご指名でお仕事の依頼が来るというのは嬉しいものだが(過去にそういうことが何度かあった)、逆に名指しで批判されるのは実にキツいものだ(これまた初めてではないが、今日のように批判者に自分の目の前で批判されるのは経験がない)。
私のような仕事だけでなく、例えば美容師や理容師、ホステスやホストといった職業でもこういうことはあるだろう。
それにしてもヘコむワ……。
コメント (2)
確かにこれはキツイですね。
しかしまあいろいろ考えるきっかけにもなったわけですし、価値ある経験だったということもできそうですね。
投稿者: kunio | 2006年09月13日 19:39
ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりで、私としても「こんな仕事請けなきゃよかった」とは全然思っていません。
IT系の案件が多いのですが、転職サイト側へは私から「IT系に限定せず、いろいろな業界の案件をやらせてほしい」とお願いしてあります。
いろいろと経験を積んで、スキルアップしたいと考えているからです(それ以外にも、「IT系ばかりじゃワンパターンで飽きる」ということもあるのですが)。
「何ごとも経験が大切」という気持ちに変わりはありません。
ただ、その経験がもとで受けたショックが大きかったということです。
投稿者: Jean=Paul | 2006年09月13日 22:46