毎年この時期恒例の、テクニカルコミュニケーションシンポジウム【東京開催】に参加してきた。
「いったい何のシンポジウム?」という読者もいらっしゃると思う(というか、そういう人にこそこの文章を読んでほしい!)ので、このシンポジウムについて説明しておくと、簡単に言ってしまえば「マニュアル(取扱説明書)制作者のための情報交換の場 兼 勉強会 兼 優秀なマニュアルの発表会」といったところ。
私は、3年前(2003年)から連続して出席している。
今年は、昨日8月31日と今日の2日間の開催だったが、昨日は野球を見に行っちゃったのでパス。今日の2日目のみの参加となった。
最初に参加した頃は、「テクニカルライターになりたい!」という思いが強くあって、勉強する以外にも「マニュアルの制作について勉強しているんだ」という実績づくりの意味もあってこのシンポジウムに参加していた。
一昨年と去年は、このシンポジウムを開催しているテクニカルコミュニケーター協会の会員企業である某社のマニュアル編集者として、自費ではなく会社から研修費の支給を受けて出席。
では今年は…… とりあえずライターにはなったが、このシンポジウムの参加者層の一つである「(マニュアルを執筆する)テクニカルライター」ではない。執筆しているのはマニュアルではなく求人広告だし。とはいえ、一応テクニカルライティングについて経験と知識があること、「もしかしたら今後役立つかもしれない」という考えで、参加することにした。
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さて、私が参加したものを、以下に綴ってみよう。
●午前
Webライティング実践テクニック〜媒体特性とトレンドを踏まえる〜
パネルディスカッションではなく、有料の講座なので、気持ちが引き締まる。
最初に紙媒体とWebとの違いについていろいろと説明のあったあと、HTMLタグを意識したライティングやキャッチコピーなどについて演習(といっても出された問題にその場で1〜2分考えて答えを出すというものだけど)。
実は私、キャッチコピーの作り方についてはまったく訓練や講義を受けたことがない。日頃求人広告を執筆する際に、キャッチコピーも必ず作る必要があるんだけど、その際にはいつも思いつきや自己流で作っている(でもそれが結構採用されたりする)。そんなワケで「ちゃんとした基本というか理論のようなものを知っておきたい」と以前から思っていたのだが、それが今回ちょこっとでも勉強できたのがよかった。
ただ、講義の内容はあくまでハウツーなので、それだけを知っても何にもならない。あくまでそれを活かして実際に(クオリティの高い)仕事をすることが肝心。
ちなみに、講師の著書『伝わるWeb文章デザイン100の鉄則』も講義終了後に見てみたが、この本の前半3分の2の内容から要点やエッセンスを抜き出したのが今日の講義だということがわかった。後半の3分の1は、これからは流行らないであろうメールマガジンの執筆についての説明なので、この本を買うにはちょっと二の足を踏む。
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●午後
Webで“TC力”を活かす〜Webでのテクニカルライターの役割を探る〜
4名によるパネルディスカッション。
内容はタイトルのとおりだったが、一言で言ってしまうと「収穫の少ない、物足りない、退屈な時間」だった(あくまで私見なので念のため)。マイクのせいもあって話が聞き取りにくかったし(これについては他の聴講者からもクレームがあった)。リンク先の説明を読むと、すごく期待が持てる内容に思えるけど。
唯一まともだったのが、ブラザーの松原さん。
こちらのWeblogを管理している人なのだが([日記の検索]で「松原」をキーワードに検索していただくと、どんな人かがわかると思う)、いわゆるマニュアル制作者ではない人からの視線で、多少はマニュアル制作にも関わりがありそうな話をされていたのが興味を引かれた。「マニュアルのことはよくわからないが」という謙虚な姿勢や、他の人が壇上の席に座ったままプレゼンテーションをする中、唯一ピンマイクを付けて立ち上がって話をされていたのも好感を持てた。
で、このパネルディスカッション、何がダメに思われたかというと、松原さん以外のパネラーがWebの最新のトレンド(Web 2.0)について疎いように思われたから。いずれも40代または50代の方達で、中にはWebサイトのことを「ホームページ」と呼んでおられる方もいた(これじゃあダメだ)。
主に紙のマニュアルに載せるようなこと、具体的には製品の使い方をWebに載せようというのだから、必ずしもWeb 2.0を意識しなくてもよい(メーカーから情報を一方通行で伝えるだけでOK)なのかもしれない。
でも、「Web 2.0のことはわかっているけど、ここでは関係ないからその話をしない」ならともかく、「そもそもWeb 2.0をわかってない」じゃあちょっと萎える。
一応「Webとテクニカルライティング」というテーマを掲げているのだから、多少なりともWebの最新動向に少しでも触れる形で話を進めてほしかった。
もう一つ細かい話だけど、配付する資料のことをもっとよく考えてほしい。PowerPointで作成したプレゼンをA4の紙1枚に2スライドずつ白黒で印刷したものが資料として配られるのだが、そもそもPowerPointの画面の背景に色が付いているので、紙に印刷された資料ではその部分が濃い灰色になってしまう。これでは、いろいろ書き込みをしたくともできない。メモ欄を付け加えず、単にスライドだけを印刷しているから、なおのことメモ書きができない。
「読み手のことを第一に考えるべきマニュアル制作者が、ことプレゼンの資料になると読み手の都合を全く考えていない」というのはいかがなもんでしょ?
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ここまで4年連続してこのシンポジウムに参加してきて、毎年いろいろと違ったジャンルのことを学んできた。先ほどもちょっと触れたが、過去3年間は「取説を作る人」としての参加だったけど、今年は違う。
実は、今年も参加するかどうか、随分と迷った。「もうマニュアルのライティングや編集をすることはないだろう」という考えがあったし、今の仕事にどこまで役立てられるかが疑問だったからだ。
今回参加してみて、今日の午前中の講座はひとまずムダではなかった。ただ、午後のパネルディスカッションについては収穫があまりなかったし、他のパネルディスカッションや発表会だと参加する意味がもっとないような気がする。
そんなわけで、「シンポジウムに参加するのはもうそろそろ潮時かなぁ」と思っている。
コメント (2)
TCシンポには参加したことがないのですけど、参加者としてのこの率直な感想はとても参考になりました。
投稿者: kunio | 2006年09月02日 00:09
>TCシンポには参加したことがないのですけど
そうだったんですか。
今年は1日だけの参加ですし、大したことは書けないですけど、こんなものでも参考にしていただけるなら(恐縮です)。
4年間続けて参加してみて、「内容がちょっとマンネリ化してるかなぁ」という感じはしました。
ただ、初日の午前中にある基調講演は毎年内容が変わるので、面白いのかもしれません(ちなみに私は一度も聞いたことがないですが)。
投稿者: Jean=Paul | 2006年09月02日 00:45