取材の帰りに、飯田橋はラムラに立ち寄る。
遅い昼食を摂って、仕事(原稿書き)をして、買い物をして、さぁ地下鉄で帰ろうとしたところ、ある飲食店からどこかで見たような人物が出てきた。
店の前に立つやいなや、店の側を向いて立っている。
あれ? どっかで見たことがあるような…… と思ったのも一瞬。すぐにピンと来た。
ロッキーだ!
蓄えたヒゲはないけど、山高帽はかぶってないけど、たしかにあれはロッキーだ!
「何のこっちゃ?」と思われた方のために一応説明を加えておくと、「ロッキー」とは木之元亮氏のこと。
刑事ドラマ「太陽にほえろ!」(NTV)で岩城創刑事を演じていて、その岩城刑事のニックネームが「ロッキー」だったというワケ。
今やグルメレポーターとしてちょっとヨイショの入ったレポートがお茶の間にはおなじみ(古くさい表現だなぁ)だけど、昔はロッキー刑事のイメージそのままのもっと骨太なキャラクターだった。
ロッキーこと岩城創刑事が番組に登場したのは1977年。山高帽にGジャン・Gパンといういでたちでブラウン管に現れた。
走るときに手がグーではなくパー、つまり手を開きながら走っていて、それがカッコイイと当時小学校低学年だった私はよくマネをしたものだ。
それと、番組のオープニングで出演者紹介のときに、ロッキーはなぜか新宿西口(青梅街道)の歩道橋に掴まりながら必死に上に上がろうとしていて、なぜかそれがおかしかった。よくクラスメートと「ロッキー歩道橋」などと面白がっていたものだ。
熱烈な「太陽!」好きの私が、番組の歴史の中で最も好きだったのは1979〜1980年頃。山下真司演じるスニーカーこと五代潤刑事とロッキーがコンビを組むような形で、そこに沖雅也演じるスコッチこと滝隆一刑事が戻ってくる辺り。
「歴代若手刑事の中で一番好きなのを挙げろ」と言われたら真っ先にスニーカーを挙げるところだが、同時期の刑事としてロッキーにも好感を抱いている。
つーことで「木之元さんですか?」と声を掛けようとしたのだが、どうにも勇気が出ない。こういう時っていつもチキンな私。誰か他の人が声を掛けていて「それなら俺も」と便乗するならできるんだけど、自分から声かけ(=局面の打開)を図るのは大の苦手。これで今までの人生で随分損をしてきたかも。
ということで、勇気を出せないでいるうちに、同行の人がやってきてその場を去ってしまった。店の外に立っていたのは、同行の人が会計を済ませているのを待っているからだったらしい。
「いや、人違いかもしれん」「こっちがちゃんとした身なりじゃなかったし」「自分が好きなのはロッキーよりスニーカーだし」などと自分の中でいろいろと言い訳を考えてみたが、結局はどうにもならない。
あれ、やっぱり本人だったよなぁ。声を掛けてサインもらっておくんだった……。「ロッキーとスニーカーの頃の『太陽!』が大好きだったんです」ってホントのことを言いながら。