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2008年03月19日 23:45に投稿されたエントリーのページです。

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私が新卒学生向けの求人原稿を書かない理由

かつてないシューカツ番組 誕生!

EE感じに社会人
主演 おぎやはぎ
第一夜 3月19日(水)午後11時〜
第二夜 3月20日(木)午後11時〜
http://www.nhk.or.jp/ee-kanji/


今、NHK総合で2009年新卒学生向けの番組をやってるようですが。

ごくごく限られた層のために、こんな番組なんてやらなくていいんじゃない? って思う。
そんな私はひねくれ者。

実社会を知らない新卒学生が誰も彼も似たようなカッコして、せいぜいサークル活動でのリーダー経験くらいしかウリのない中で面接に臨む姿って、どこかツマラン(かなり表面的な見方かな?)。

この番組を端で見ていて、私が日頃から抱いている新卒学生(の存在)に対する考えや思いがいろいろと浮き彫りになってきた。
せっかくなので、ここに綴っておきたいと思う。

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Web上の求人媒体というと、「新卒学生向けサイト」と「転職者向けサイト」の二つがある。
日頃後者の求人原稿を書いている私であるが、前者の求人原稿は1回しか書いたことがない。

本当は、前者の仕事をしたほうが有名な大企業を取材する機会に恵まれるかもしれない。聞いたこともない会社よりは、少なくとも「ああ、この会社知ってる!」とか「名前くらいは聞いたことがあるな」という会社にめぐり合う確率が高いだろう。
だから、前者の求人広告を書いているライターが少々羨ましかったりする。

とはいえ、本格的に「新卒向け求人媒体の仕事をしたい」と気持ちにはならない。
それはなぜか?

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社会人としての就業経験がない学生と、転職を考えているか既に転職を経験している社会人。
後者について、「転職を考えている/経験している」ということは、一度は失敗や挫折、“うまくいかないこと”を実感しているはずだ。

私の場合、新卒で入った組織を5年で辞め、その後紆余曲折を経てようやくこの仕事に辿り着いている。言うなら、“失敗だらけの人生”といったところだ。
それに比べたら、新卒の学生はそういう経験をしたことが基本的にはないはず。「受験に失敗して志望校には入れなかった」くらいの経験はある人もいるだろうが、それ以外の挫折感を味わったことはそんなにないはず。

だから、自分と同じような挫折を経験していない新卒の学生には、基本的に共感ができない。就職サイトで「彼/彼女らのために良い求人広告を書いてあげたい」という気になれない。心の奥底にある、仕事へのモチベーションがどうしても下がってしまうのだ。
それに比べて転職サイトなら、同じ挫折を知る者同士として、「こんな道もあるんだよ」「こんな仕事はどう?」と語りかけるような気持ちで原稿執筆に臨むことができる。自分も転職を考えている、いや考えていた立場だからこそ、読者に近い視線の高さで原稿をまとめることができるのだ。

これが、一つ目の理由。

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学生当時の私は、まともな就職活動を経験していない。

ずっと「進学したい」という気持ちが強く、社会人として働くことへの抵抗感がかなりあった大学生当時。院進学をあきらめた私にとっての次善の策は、地方公務員になることだった。しかし、公務員試験突破に向けた受験勉強をまともにする時間がなかったこともあり、あえなく失敗。

その後で「大学職員になろう」と考え、遅めの就職活動開始へ。そもそも大学職員は就職活動の時期が遅め(4年生の春になってから始めても十分間に合う)なので、当時の私には好都合だった。その結果、2校から内定を貰う。
その後、コンピュータへの漠然とした興味からSEを目指すも、どの会社でも適性検査であえなく落とされてその道は断たれ、内定を貰っていた大学のうち1校への就職を決める。

というわけで、3年生の秋から企業にアプローチをして、業界研究をして、会社ごとに自己PRや志望動機を考えて…… というお決まりのことは何一つといっていいほどしていないのだ。

そんな私が、お決まりのことをキチンとこなしているであろう今の学生諸君に対して、まともな求人広告など書けるはずがない。少なくとも私はそう思っている。

これが、二つ目の理由。

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当たり前のことであるが、学生である彼/彼女達は社会人として働いた経験がない。そういう意味では、(ちょっとキツい表現になるけど)“お子チャマ”だ。

私は、学生時代から「年下の人間と付き合うくらいなら、年上と付き合いたい」という思いを抱いていた。ここでいう「付き合う」とは、男女間のことだけを指しているわけではない。広く人間関係全般のことを指している。
年上の人間のほうが、自分よりは長く人生を経験しているし、自分が知らないことを知っているはず。関わりを持つ中で、いろいろ勉強になることも多いだろう。

そもそも、私は子供の頃から「早く大人になりたい」という気持ちが常に心の奥であったような気がする。「背伸びしたい」というか、「低いレベルにいるよりは早く高いレベルに行きたい」といったような気持ちだ。
何か文章を書くときにも、同級生がひらがなで書くところを自分は漢字で書いてみたり、いかにも子供向けという本よりは大人が読む/見るような本を手に取ったり。

そんなこともあって、人生経験にせよ知識にせよ自分よりは下を行く(であろう)人達のために、「何かをしてあげたい」という気持ちが湧かないのだ。「お子チャマを相手にする」ということに対して、いまいちモチベーションが上がらないのだ。

これが、三つ目の理由だ。

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三つ目の理由について一応フォローしておくと、新卒の学生全体を軽蔑と羨望の入り交じった目で見ているわけではない。

私が今お付き合いをさせていただいている会社に2007年の新卒入社組が2名ほどいて、そのうち1名からはよくお仕事を頂くんだけど、決して変な対応はとらない。
もちろん「私にとっては大事な得意客だから」ということもあるけど、そもそもそれ以前の問題として「早く社会に出た者として、若い人達に自分が知っていることや経験していることをできる限り伝えたい」という思いを持っているからだ。

基本的に、私は人にものを教えるのが好き。物事を知らない相手に対して、「こんなこともわからないのかコイツは、チェッ!」と切り捨てるのではなく、「これはこういうものなんだよ」と教えてあげたい。その人の成長を支援してあげたい。
もちろん、その人自身に「成長したい」「いろいろなことを教えてほしい」という気持ちがあればの話だけど(やる気のないヤツは放っておく)。件の社員は、そういう気持ちをちゃんと持っている人だ。

“子供”と接することを好まないのに、実際に接した途端に“教育者”に豹変してしまう。「学生全般」という目で見ると冷たい視線を投げかける私でも、その中の一人と向き合えばガラッと態度が変わってしまう。
これも、私という人間の一面だ。

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どんな学校に属しているのであれ、就職活動の王道であることをしっかりこなしている彼/彼女達が羨ましくて仕方がない。

その反面、「決まり切ったレールしか歩いてないな」「社会のことをわかってないな」という、ある種蔑んだような気持ちも一方では持っている。「大学を出て、大企業に入ろうとするだけが人生じゃないのに。もっと自分に合った道があるかもしれないのに……」と。

彼/彼女達に対して、そんな複雑な思いを抱く私である。