入院中の父が、補聴器の試用を始めて約2週間。
今日は、病棟に補聴器メーカーの人がやってきた。
部屋に入ってみると、見知らぬスーツ姿の男性が。話を聞いてみると、補聴器メーカーの営業マンとのこと。
2週間ほど使用を試してみて、良い調子なので購入をすることに。一番安いモデル(父の生活シーンを考えると上位機種を買う必要がないので)で、1個(片耳)88,000円也。
購入が決まると、営業マンは持ってきた新品の補聴器の設定を始めた。今まで父が使っていたのはあくまで試供品なので、購入を機に新しいものと交換するのだ。もっとも、試供品とはいっても父の聴力に合うようにチューニングはされていたのだが。
営業マンはカバンからノートPCを取り出すと、USB端子に何かを挿し、その一方で補聴器と何かのデバイスを接続し始めた。訊けば、ノートPCに父の聴力に関するデータが保管されていて、それを無線で補聴器本体に飛ばしているのだという。
ノートPC(OSはWindows XP)には、そのメーカーのオリジナルのソフトウェアがインストールされていて、いろんな患者さんの聴力データをすぐに確認できるようになっている。ソフト上で、周波数ごとに細かいチューニングができるとのこと。
「5年くらい前までは、ドライバーを使って補聴器の調整をやっていたんですよ」とは、営業マンの言葉。つまり、ハードウェア的なチューニングが当たり前だったというわけだ。
それが今では、チューニングはすべてソフトウェア的に済ませるようになっている。
そのメーカーの営業マンにとって、このような特殊なソフトがインストールされたノートPCは大事な商売道具、なくてはならないものらしい。これがなければ仕事はできない。
これだけ細かい調整をするからこそ、一番安いモデルでも10万円近くするのだ。老眼鏡や天眼鏡と、個人の視力ごとに調整されたメガネやコンタクトレンズとを比較すれば、当然後者のほうが高価。それと同じことだ。
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これは余談になるけど、営業マン曰く「補聴器は日本では遅れている」とのこと。
聴力障害が認められて身体障害者手帳が交付されない限り、高い購入代金はすべて自腹で負担。健康保険などは適用されない。それに比べて北欧では保険が利くので、誰もが安価で購入できるという。
世間一般の補聴器に対する認知度が、日本ではまだまだ低いのだとか。
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補聴器メーカーの営業マンって、少なくとも「商材(営業担当としてセールスする商品)」は怪しいものではないので、仕事はしやすいだろう。
営業ノルマもそんなに厳しくはないだろうし、「売れるまで会社に戻ってくるな!」などと上司からプレッシャーを掛けられることもないはず。
ただ、(当然のことながら)聴力の弱い人相手の商売なので、お客とのコミュニケーションはなかなか難しいだろう。
まして、聴力の弱い人は通常お年寄りが多いはずだから、ガンコな人や話の長い人を上手にあしらいながら話をしなければならない。そういう部分でのストレスはあるだろうな。
「なんでこんなに高いんだ!」という、補聴器の価格そのものに対する世間の認識不足もあるだろうから(私は高価な理由を納得しているけど)、必ずしも商談がスムーズにいくとは限らないだろうし、やっぱり大変な面はあるだろう。
営業マンと話をしながら、ついつい「この仕事も大変だろうなぁ」という目で相手を見てしまっている私がいた。「補聴器ユーザーの家族」というよりは「仕事ウォッチャー」だ。